アウターマッスルとインナーマッスルとは?~「鍛えるならインナーマッスル」は本当に正しい?~
2026/08/20
アウターマッスルとインナーマッスルとは?
~「鍛えるならインナーマッスル」は本当に正しい?~
「インナーマッスルを鍛えると姿勢が良くなる」
「アウターマッスルは鍛えすぎない方がいい」
「体幹を鍛えるならインナーマッスル」
トレーニングでは、このような言葉をよく耳にします。
しかし、アウターマッスルとインナーマッスルは、どちらか一方が重要というものではありません。
身体を動かすためには、大きな力を発揮する筋肉と、関節を安定させる筋肉が協力する必要があります。
今回は、アウターマッスルとインナーマッスルの違いを、生理学・解剖学的な視点から解説します。
① アウターマッスルとは?
アウターマッスルとは、
簡単にいうと身体の表層に位置し、大きな力を発揮しやすい筋肉を指して使われる言葉です。
代表的なのは、
- 大胸筋
- 広背筋
- 大腿四頭筋
- 大殿筋
- 三角筋
- ハムストリングス
などです。
例えばスクワットでは、大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリングスなどの大きな筋肉が働きます。
これらは、
- 立つ
- 歩く
- 持ち上げる
- 押す
- 引く
- 階段を上る
といった日常動作にも重要です。
つまりアウターマッスルは、
「身体を実際に動かすための大きなエンジン」と思えば分かりやすいです。
② インナーマッスルとは?
インナーマッスルは、一般的には身体の深層に位置する筋肉を指します。
代表例として、
- 腹横筋
- 多裂筋
- 横隔膜
- 骨盤底筋群
- 回旋筋腱板(ローテーターカフ)
などがあります。
これらは、大きな力を発揮するというより、「関節や身体の位置を安定させる」という役割を担っています。
例えば肩関節では、
- 棘上筋
- 棘下筋
- 小円筋
- 肩甲下筋
からなる回旋筋腱板が、上腕骨頭を関節窩に安定させる働きをしています。
③ 「インナーマッスル=体幹」ではない
ここは非常に重要です。
「インナーマッスル」と聞くと、
腹横筋=インナーマッスルというイメージを持つ人が多いです。
しかし、インナーマッスルは体幹だけに存在するわけではありません。
肩にもあります。
股関節にもあります。
背骨周辺にもあります。
つまり、インナーマッスル=特定の筋肉の名前ではありません。
あくまでも、「身体の深い位置にある筋肉」という表現として使われることが多いです。
④ アウターとインナーは「別々に働く」わけではない
ここが一番重要なポイントです。
身体を動かすとき、
「まずインナーマッスルが働いて、その後アウターマッスルが働く」
という単純な関係ではありません。
実際の運動では、複数の筋肉が協調して働きます。
例えばスクワットなら、
体幹を安定させる筋群
+
大殿筋
+
大腿四頭筋
+
ハムストリングス
などが同時に関係します。
つまり、インナーとアウターは「対立するもの」ではなく「協力するもの」です。
⑤ なぜインナーマッスルが重要なのか?
インナーマッスルの重要な役割の一つが、関節の安定性を高めることです。
例えば肩関節は、非常に大きく動かせる反面、構造的に不安定になりやすい関節です。
そこで回旋筋腱板などが働き、上腕骨頭を適切な位置に保ちながら腕を動かします。
つまり、
大きな筋肉が動かすだけではなく、深層の筋肉が動きを支えることが必要になります。
⑥ アウターマッスルが重要な理由
では、インナーマッスルだけ鍛えればいいのでしょうか?
答えはNOです。
身体を実際に動かし、筋力を高めるためにはアウターマッスルも重要です。
特に中高年の健康維持では、
- 下半身の筋力
- 背中の筋力
- 胸の筋力
- 股関節周囲の筋力
などを維持することが重要になります。
例えば、
- スクワットなら立ち上がる力。
- ラットプルダウンなら引く力。
- チェストプレスなら押す力。
こうした筋力は、日常生活を支える基礎になります。
⑦ 「インナーマッスルを鍛えると痩せる」は本当?
よくある誤解の一つです。
「インナーマッスルを鍛えると代謝が上がって痩せる」という説明がありますが、
インナーマッスルだけを鍛えれば大幅に脂肪が減る、というわけではありません。
脂肪を減らすためには、消費エネルギー > 摂取エネルギーという状態を継続することが基本です。
そのためダイエットでは、
- 食事管理
- 日常活動量
- 有酸素運動
- 筋力トレーニング
などを組み合わせることが重要です。
⑧ 姿勢改善にはどちらが重要?
「姿勢改善=インナーマッスル」と考えられることもあります。
しかし、これも単純ではありません。
姿勢は、
- 筋力
- 関節可動域
- 筋肉の協調性
- 身体の使い方
- 視覚・前庭感覚
- 日常生活の習慣
など、さまざまな要素によって決まります。
例えば猫背だからといって、
「腹横筋だけ鍛えれば改善する」とは限りません。
胸椎の可動性、肩甲骨の動き、背中や胸周辺の筋力、日常姿勢などを総合的に考える必要があります。
⑨ 40〜50代以降は「両方」が大切
中高年のボディメイクや健康維持では、
インナーマッスルを鍛えるか、アウターマッスルを鍛えるかではなく、
「両方を適切に使える身体をつくる」ことが重要です。
例えば、
下半身
スクワット・レッグプレス
↓
大殿筋・大腿四頭筋などを鍛える
体幹
プランク・デッドバグなど
↓
体幹の安定性を高める
肩
ローイング・ラットプルダウンなど
↓
肩甲帯を含めた筋力を高める
このように、特定の筋肉だけではなく、身体全体を連動させて使うことが重要です。
⑩ 結局、どちらを鍛えればいい?
答えは、
「目的によって変わるが、基本的には両方」です。
筋肉を大きくしたいなら、
「アウターマッスルを含めた十分な負荷」が重要です。
姿勢や関節の安定性を考えるなら、
「深層筋を含めた筋肉の協調性」が重要です。
健康維持なら、
「大きな筋肉を使った筋トレ+身体を安定させる運動」を組み合わせるのがおすすめです。
まとめ
アウターマッスルとインナーマッスルは、どちらか一方が優れているわけではありません。
アウターマッスルは、「大きな力を発揮して身体を動かす」
インナーマッスルは、「関節や身体を安定させ、動きを支える」
という役割があります。
そして実際の運動では、両者が協調して働きます。
だからこそ、
「インナーマッスルだけ鍛えればいい」
「アウターマッスルを鍛えればインナーマッスルは不要」
という考え方は適切ではありません。
大切なのは、動かす力 × 支える力の両方を身につけること。
特に40〜50代以降の健康維持やボディメイクでは、
筋肉量を維持・向上させながら、身体を安定して動かせる能力を高める。
この考え方が、長く動ける身体づくりにつながります。
「インナーかアウターか」ではなく、「身体全体をどう協調させるか」。
これがトレーニングを考えるうえで大切な視点です。
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